共働きで働き続けるとき、夕方以降をどう回すかは切実なテーマです。お迎え、夕飯、寝かしつけ——ここに残業が重なると、一気に立ち行かなくなります。その"守り"になるのが「残業免除」で、2025年の改正で使える対象が広がりました。

ただ、制度があることと「実際に使える空気があること」は別。この記事では、何が変わったのかと、採用担当の視点から「会社選びでどこを見るか」を整理します。

📑 目次(タップで開く)(タップで閉じる)
  1. 2025年改正で、何が変わった?
  2. 申請は、いつ・誰に・何を出す?
  3. 共働き・ワーママに、なぜ効くのか
  4. 時短勤務との併用、似た制度との違い
  5. 会社選びで見るポイント(差は"空気"に出る)
  6. よくある3つの誤解
  7. 面接での確かめ方
  8. まとめ
  9. よくある質問

2025年改正で、何が変わった?

まず、「残業免除」という言葉の中身から。正式には「所定外労働の制限」といって、対象になる社員が請求すれば、所定労働時間を超える残業を免除してもらえる制度です。「時短」とは別で、フルタイムのまま残業だけを外す、というイメージが近いです。

2025年4月の改正で変わったのは、その対象年齢です。これまでは「3歳未満の子を育てる社員」が請求できましたが、改正後は「小学校就学前の子を育てる社員」まで拡大されました。つまり、3歳を過ぎても、小学校に上がるまでは請求で残業を免除してもらえるようになった、ということです。

地味に見えて、これは大きな変化です。これまでは3歳を境に残業免除が切れて、そこから小学校までの数年間が"谷間"になっていました。その谷間が埋まった形です。

申請は、いつ・誰に・何を出す?

「請求すれば免除される」と言われても、実際の手続きが見えないと動きづらいですよね。基本の流れはシンプルです。

いつ:免除を始めたい日の1か月前までに請求します。1回の請求で指定できるのは1か月以上1年以内の期間。区切りが来たら、また請求すればよく、回数の制限はありません。子どもの状況に合わせて、更新しながら使えます。

誰に:会社の窓口(人事や直属の上長)へ。就業規則に申請先が書かれているのが通常です。

何を:開始日・終了日を明らかにして、書面など会社の定めた方法で請求します。多くの会社は所定の申請書を用意しています。

ここで覚えておきたいのは、残業免除は「お願い」ではなく「請求(法律上の権利)」だということ。要件を満たしていれば、会社は原則として拒めません(事業の正常な運営を妨げる場合の例外はあります)。気後れせず、制度として使っていいものだと考えて大丈夫です。

共働き・ワーママに、なぜ効くのか

双子を育てていて実感するのは、夕方以降の時間はまったく余裕がない、ということ。お迎えの時間は決まっているし、そこから夕飯・お風呂・寝かしつけと、分刻みで進みます。ここに突発の残業が入ると、綱渡りが一気に崩れます。

子どもが3歳を過ぎても、小学校に上がるまでは、この夕方の慌ただしさはそう変わりません。だから「小学校就学前まで残業免除を請求できる」というのは、共働き家庭の夕方を守るうえで、実生活にしっかり効く変化です。採用する側から見ても、この請求を自然に受け止められる会社は、長く働き続けやすいと感じます。

時短勤務との併用、似た制度との違い

残業免除は、ほかの両立制度と組み合わせて使えます。とくに時短勤務との併用はよくある形です。3歳になるまでの子には、原則1日6時間の時短勤務が使えますが、時短にしたうえで「その短くなった所定時間を超える残業も外す」ために、残業免除を重ねる、という使い方ができます。

混同しやすい似た制度も、整理しておきます。

  • 所定外労働の制限(残業免除)=所定労働時間を超える残業をゼロにする。今回、就学前まで拡大されたのはこれ
  • 時間外労働の制限=残業をゼロにはしないが、月24時間・年150時間を超える残業を制限する
  • 深夜業の制限=夜10時〜朝5時の勤務を制限する

「残業をまるごと外したい」なら残業免除、「一定量までは残ってもいいが上限は設けたい」なら時間外労働の制限、というイメージです。自分の生活に合うのはどれか、就業規則の該当条文を見比べてみてください。

会社選びで見るポイント(差は"空気"に出る)

残業免除は法律上の権利なので、制度としては、どの会社でも請求できます。だからこそ、会社選びで差が出るのは「請求しても気まずくない空気があるか」という運用の部分です。採用担当として見てきて、目安になるのは次の点です。

そもそも残業前提の文化ではないか。定時で帰る人が普通にいる職場か、遅くまで残るのが当たり前の職場かで、免除の請求しやすさはまるで違います。

固定残業代(みなし残業)の有無と時間。求人票に「固定残業代◯時間分を含む」とある場合、その時間ぶんは働く前提で設計されていることが多い。残業を外したい人にとっては、ひとつの目安になります。

実際に残業免除を使っている人がいるか。これが最大のサイン。制度があっても誰も使っていない会社より、実例がある会社の方が、請求のハードルはずっと低いです。制度を入口に会社を見抜く全体像は、制度で「働きやすい会社」を見抜く方法にまとめています。

もう少し踏み込むなら、「夕方以降に会議が入る頻度」「上の立場の人が定時で帰るか」も見ておくと精度が上がります。夕方に定例会議を置く会社は、その時間に人がいる前提で回っている、ということ。そして管理職が遅くまで残る職場では、部下も帰りづらい空気になりがちです。制度の有無より、この"時間の使い方の文化"のほうが、日々の帰りやすさを左右します。

請求は権利ですが、現場では周りとの折り合いも大事です。実務でうまく回っているのは、「お迎えがあるので◯時で失礼しますが、朝は早めに動きます」「急ぎの案件はこの時間までに共有してください」と、外す時間と、その代わりにできることをセットで伝えるやり方。制度を盾にするのではなく、チームの回し方まで一緒に提案できると、免除はぐっと使いやすくなります。ここは会社の文化次第でもあるので、面接で運用を確かめておく意味が、ここでもまた出てきます。

よくある3つの誤解

残業免除については、次のような思い込みで損をしている人がよくいます。

誤解①「時短にしないと残業は外せない」。残業免除は時短とは別の制度で、フルタイムのまま残業だけを外すことができます。給与を減らしたくないけれど夕方の残業は避けたい、という人に向いています。

誤解②「3歳を過ぎたら、もう使えない」。2025年の改正で小学校就学前までに延びました。3歳の壁で諦めていた人は、もう一度就業規則を確認する価値があります。

誤解③「上司の許可が要る」。これは"お願い"ではなく"請求"です。要件を満たせば会社は原則断れません。もちろん進め方の相談は必要ですが、「認めてもらう」ものではない、と知っておくだけで気持ちが軽くなります。制度を知らないまま「言い出しにくいから」と我慢してしまうのが、いちばんもったいないパターンです。

面接での確かめ方

面接や面談では、制度の有無ではなく「運用」を尋ねるのがコツです。使いやすい聞き方はこのあたり。

「残業免除(所定外労働の制限)を使って働いている方はいらっしゃいますか?」「夕方以降の勤務は、チームでどうカバーされていますか?」「固定残業代はありますか?」——採用する側にいて思うのは、こうした質問に具体的な実例で答えられる会社ほど、残業を外して働くことに理解があるということ。言葉が濁る場合は、残業前提の文化が根強いこともあります。会社の運用を面接で確かめる聞き方は、「働きやすい会社」は面接で見抜けるでも紹介しています。

🤝 「残業を外して働ける空気か」は、エージェントがいちばん知っている

残業前提の文化か、定時で帰る人が普通にいるか。求人票に載らないこの"空気"は、担当エージェントが把握しています。情報収集だけの利用でも大丈夫です。

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まとめ:残業免除は"谷間"を埋めた。あとは「使える空気」を会社で見る

残業免除は、共働きの夕方を守る制度。2025年の改正で、使える期間が小学校就学前まで延びました。

  • 残業免除=所定外労働の制限。請求すれば所定労働時間を超える残業を外せる(時短とは別)
  • 2025年改正で、対象が「3歳未満」→「小学校就学前」まで拡大。3歳〜小学校の"谷間"が埋まった
  • 法律上の権利なのでどの会社でも請求できる。差が出るのは「請求しやすい空気」「残業前提の文化かどうか」
  • 面接では「使っている人はいるか」「固定残業代はあるか」と運用を聞くと本気度が分かる

制度は変わります。最新の要件は厚生労働省の一次情報でご確認ください(本記事は2026年7月時点、改正は2025年4月施行)。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。気になる求人票の固定残業時間の欄を、今日ひとつ見てみてください。

📚 出典・参考情報(Sources)

※2026年7月時点の情報です(改正は2025年4月施行)。申請の手続き(開始予定日の1か月前までに書面等で請求・回数制限なし)、時間外労働の制限の月24時間・年150時間、時短勤務との併用は制度の枠組みです。要件は変更される場合があるため、最新は各公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 2025年の改正で残業免除はどう変わりましたか?
A. 残業免除(所定外労働の制限)は、請求すれば所定労働時間を超える残業を免除してもらえる制度です。2025年4月の改正で、対象となる子の範囲が「3歳未満」から「小学校就学前」まで拡大しました。3歳を過ぎても、小学校に上がるまでは請求できるようになったのがポイントです(※2026年7月時点・詳細は厚生労働省の一次情報でご確認ください)。
Q. 残業免除は誰でも使えますか?
A. 小学校就学前の子を養育する労働者が請求すれば利用できる制度です(労使協定などで一部対象外となる場合があります)。法律上の権利なので、制度としてはどの会社でも請求できます。差が出るのは「請求しても気まずくない空気か」「そもそも残業前提の文化ではないか」という運用面です。
Q. 面接で残業について聞いても大丈夫ですか?
A. 運用を尋ねる聞き方なら自然です。「残業免除を使って働いている方はいますか」「夕方以降はチームでどうカバーしていますか」「固定残業代はありますか」と聞くと、残業前提の文化かどうかが見えてきます。採用担当として見ても、実例がすぐ出る会社ほど、制度が実態を伴っている傾向があります。

※ 本記事は2026年7月時点の情報をもとにした、会社選びの視点のまとめです(改正は2025年4月施行)。制度の要件は変更される場合があるため、最新は厚生労働省の一次情報でご確認ください。

最終更新日: 2026年7月24日