夫の転職活動のスタートは、2024年12月だった。
「そろそろ、転職活動を始めてみようか」
その一言から、わずか4ヶ月半で、新しい職場への内定、そして2025年4月の入社。それまでの夫は「現職で定年まで」という、ある種、諦めに近い姿勢を持っていた。でも、転職活動を始めることで、その人生観が変わったのを、私は間近で見ていた。
そして、その変化を見ていた私自身も、「あ、私も転職できるんじゃないか」という思いが、ようやく、形を持ち始めた。
夫の転職活動:12月にリクルートエージェント・doda両方に登録→4月入社成功
採用担当として、転職エージェントの存在については知っていた。でも、「実際に、どのように機能するのか」については、採用側からの見方しか持っていなかった。
夫の転職活動を、配偶者として、そして採用担当として、横で見守ることで、初めて「転職エージェントの実態」が見えた。
12月中旬: リクルートエージェント・dodaに登録
12月下旬〜1月初旬: 自分に合った求人の説明・推薦を受ける。職務経歴書の添削。
1月中旬〜2月初旬: 複数社への書類選考・一次面接。うち3社が通過。
2月中旬〜3月初旬: 二次面接・最終面接。2社から内定。
3月中旬: 内定先のどちらかを選定。内定承認。
3月中旬〜4月初旬: 退職手続き・引き継ぎ業務。
4月1日: 新職場で勤務開始。
4ヶ月という短期間で、ここまで進むことができたのは、おそらく「夫が既に一定のキャリアを持っていた」「転職エージェントが効率的に案件を紹介してくれた」というタイミングと運の合致だろう。
12月スタートで情報が少なかった話
採用側にいた私が気づいたこと。12月というタイミングは「求人数が少ない時期」だ。
転職サイト『マイナビ』の調査(2023-2024):月別の求人掲載数で、12月は1年で最も少ない時期。比較として、3月(新年度準備)と9月(下期スタート準備)は、求人数が2倍以上。
なのに、夫はなぜ、この時期に転職活動を始めたのか。その理由を聞いてみた。
「年末年始の連休で、人生について考える時間がある。今のままで本当にいいのか、って考えると、『まあ、試しに登録してみるか』という気になった」
つまり、夫の決断は「情報に基づいた戦略的な転職活動」というより「人生について考えた結果の、比較的、衝動的な一歩」だったのだ。
にもかかわらず、夫が成功できたのは、おそらく以下の理由:
- 既に、一定のスキルと経歴を持っていた:求人数が少ない時期でも「ぜひ、面接させたい」という企業が声をかけるレベル
- 転職エージェントが効率的だった:「あなたに合った求人がこれです」と、マッチング率の高い案件を提案
- タイミング的な運:たまたま、複数の企業が「今、人材を募集している」というタイミング
- 二次面接で、企業側が「欲しい」と判断:給与や待遇の交渉の余地があり、内定まで到達
夫の転職活動を「採用担当の妻」として横で見ていて気づいたこと
採用側にいた時代、転職希望者は「外部からの人間」だった。でも、夫の転職活動を横で見ていると、転職希望者たちが「どのような心理状態」で活動しているのか、初めて理解できた。
1. 転職エージェントの案件提案の「温度差」
転職エージェント側は「数字(成約数)」で評価される。だから、エージェント個人個人によって「案件提案の積極性」に大きな差がある。
夫の場合、リクルートエージェントの担当者は「毎週、3-4件の案件を提案」してくれたが、dodaの担当者は「月に1-2件程度」だった。その理由を、後から夫が聞いたところ「dodaの担当者は、マッチング精度を重視している」とのこと。
採用側にいた時、私は「どのエージェントを使うか」を指定することはなかった。でも、転職者の立場からすると「エージェント選び」も、転職活動の成功を左右する重要な要素なのだ。
2. 二次面接までの心理的な変化
夫の場合、書類選考で3社通過してから、二次面接に進むまでの心理状態が「激変」していた。
一次面接は「緊張しいだ」と言っていたが、二次面接では「もう、受かる気でいいか」という自信に変わっていた。その理由は「一次面接をクリアした時点で『あ、自分のスキルは市場価値があるんだ』と気づいた」からだとのこと。
採用側にいた時、候補者の「二次面接での態度の変化」は「気のせい」だと思っていた。でも、実は「一次面接をクリアした時点で、転職希望者の心理状態は激変する」という、重要な心理現象があるのだ。
3. 給与交渉の現実
転職エージェント経由で内定が出る際、「給与希望」を聞かれる。夫が「現職より150万円アップを希望」と答えたところ、企業側が「では、その額で」と承認した。
採用側にいた時、給与交渉のやりとりを見たことはなかった。でも、転職希望者の立場から見ると「交渉の余地」は確実にあるのだ。
特に、市場価値の高い人材の場合、企業側も「給与を上げてでも、この人を採用したい」という判断をする。夫の場合、その「市場価値」を、自分が転職活動をするまで、本人も周囲も気づいていなかったのだ。
リクルートエージェントとdodaを両方使った感想(夫から聞いた話を採用担当目線で解説)
夫が両方のエージェントを使ってみた感想を聞き、採用側の観点から解説してみた。
リクルートエージェント
- メリット: 案件数が多く、「とにかく、色々な企業を見たい」という人に向いている。エージェント側も「数字」を追求しているため、提案のスピードが速い。
- デメリット: マッチング精度にバラつきがあり、「自分に合わない案件」も提案されることがある。採用側の視点からすると「大量提案で、成約数を稼ぐ」というビジネスモデルが透けて見える。
- 向いている人: 「転職活動の全体像を知りたい」「複数の企業を見たい」という、転職初心者。
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- メリット: エージェント個人の「マッチング精度」を重視している傾向。夫の場合、「これなら、本当にマッチしそう」という2件の案件を紹介され、その両方が二次面接まで進んだ。
- デメリット: 案件提案のペースが遅い。「量より質」という方針なので、急いでいる人には不向き。
- 向いている人: 「自分に本当に合った企業に転職したい」という、転職経験者や自分の適性を理解している人。
採用側の観点からすると、この2つのエージェント選びは「転職のペースと質のトレードオフ」を示している。夫の場合「4ヶ月で成功」という早期決着だったため、リクルートエージェントの「広く、速く」というアプローチが功を奏したのだろう。
夫の転職成功を見て「私にもできるんじゃないか」と思い始めた話
夫の転職活動を横で見ていた時の、正直な心境の変化:
採用担当として、何百人の転職者を見てきた。その「転職成功のポイント」を、理論的に理解していた。でも、夫の転職活動を配偶者として見守るまで「その実感」がなかった。
特に印象的だったのは「夫が、二次面接をクリアした時の表情」。それまで「転職なんて大変そう」という顔をしていた人が「あ、自分は市場価値があるんだ」という自信に満ちた表情に変わった。
その瞬間、私は思った。「私も、あの顔になれるんじゃないか。自分の市場価値を試してみたら、意外と『採用したい』という企業があるんじゃないか」
採用担当という職歴は、確実に「市場価値がある」スキルセットだ。特に、IT企業での採用経験があれば、さらに価値が高い。なのに、自分は「この職場で、このままの働き方をするしかない」と諦めていた。
夫の成功事例を見ると、その「諦め」が、自分の心が作った幻想に過ぎないのではないか、と気がつき始めた。
つまり、夫の転職成功は「夫のためにはなる」というだけでなく「妻である私の人生の選択肢」をも、大きく変える出来事だったのだ。
自分で転職活動した経験がない不安と、夫の成功事例から学んだこと
ただし、ここで重要なのは「採用側の経験」と「転職活動の当事者経験」は全く別モノだということだ。
採用側として「こういう人は採用される」「このスキルセットは市場価値がある」という知識はあるが、自分が実際に「職務経歴書を書く」「面接に臨む」となると、別の心理的障壁が出てくるだろう。
夫の転職活動から学んだこと:
1. 「市場価値の認識」と「実際の市場価値」のギャップ
夫は「自分のスキルは、そこまで高くない」と思っていた。でも、複数の企業が「面接したい」と言い、最終的に給与交渉までできるレベルの内定をもらった。つまり「自分の認識より、市場価値は高い」ということなんだ。
採用側として「その人の市場価値」を評価する側だった私だが、自分の市場価値を正確に認識していない可能性が高い。
2. 「転職エージェント選び」の重要性
夫が両方のエージェントに登録したことで「エージェント選びの重要性」が見える。自分が転職活動をする場合、どのエージェントを選ぶか、そしてその担当者と、いかに「信頼関係」を築くかが、成功を左右する。
3. 「決断から内定まで」の短さ
夫は12月の登録から4月の入社で「4ヶ月半」。これは「新しい人生を選択するまで、そこまで長くない」ということを示している。自分が「転職したい」と思ったら「すぐに」行動することで、その実現が早まるというわけだ。
最後に:転職を選択するために必要なもの
採用側として何百人のワーママの転職を見てきた私が、今、気づいていること。
転職の成功を左右するのは「スキル」でも「経歴」でもなく「決意」だということ。
夫が転職活動を始めたのは「12月の連休で人生について考えたから」という「割とシンプルな理由」だった。でも、その「シンプルな決意」が、4ヶ月で現実に変わったのだ。
私も、今「人生について考え直している段階」だ。子供たちとの時間を失いたくない。でも、キャリアも大切にしたい。その「両方を実現する働き方」が、本当に存在するのか、試してみたい。
夫の成功事例は「それが可能である」というサインを、私に与えてくれた。
1. 決意する:「今のままでいいのか」という問いに、正直に向き合う
2. 行動する:考えるだけでなく「登録する」「応募する」という一歩を踏み出す
3. 信じる:自分の市場価値を信じ、企業側の評価を信じ、人生が変わることを信じる
そして、それらが揃うと「人生は、割と簡単に変わる」ということ。
夫は、4ヶ月かけて、その3つのステップを実行した。今、私もそのステップの入り口に立とうとしている。
▶ リクルートエージェント:12月の情報が少ない時期でも案件数が豊富。スピード重視ならここから。
▶ doda:「本当に自分に合った企業」を見つけたい時に相談できます。夫は両方登録して、両方のメリットを活かしました。