いや、育休中って本当に迷うんですよね。双子を出産した直後、赤ちゃんを見つめながら思ったんです。「あ、私本当に仕事に戻りたいのかな?」って。
採用側にいた経験が長いから、企業の都合で「ワーママはフレキシブルに対応できる人材」なんて言葉を見かけることがあります。でも、実際に自分が母親になってみると、その「フレキシブル」って掛け声の裏に、本当の葛藤があることに気づくんですよ。
子どもの世話をしながら、仕事のことを考える。その時間は本当に矛盾と葛藤の連続なんです。「子どもにしっかり向き合いたい」と「社会とのつながりも持っていたい」って気持ちが、ぐるぐるするんですよね。その時期に読んだ本たちが、本当に支えになりました。
📚 1冊目:『稼ぐ妻・育てる夫』治部れんげ
まず最初に、ワーママとしての「前提」を揺さぶってくれた本がこれです。著者の治部れんげさんは日経BPの元記者で、フルブライト奨学生としてミシガン大学で共働き夫婦を研究した方。アメリカで52組の共働きカップルにインタビューした内容がベースになっています。
日本だと「ママは稼ぎ、パパは育てる」って聞くと、まだちょっと違和感を持つ人が多いんですよね。でもこの本を読むと、「役割は性別で固定しなくていい」ってことがデータで示されてる。夫婦でどう分業するかは、それぞれのキャリアとか得意とか、家族の現実で決めるものなんだと。
採用担当として中途採用に関わっていると、最近は「夫の方が育休を長く取って、妻が稼ぎ頭」という家庭も普通に見かけるようになりました。そういう家庭のワーママは、キャリアへの迷いが圧倒的に少ない。なぜかっていうと、「わたしが稼ぐ」という選択を、家庭の中で正当化できているからなんですよね。この本は、その正当化の後押しをしてくれます。
うちはまだ夫がほぼ定時勤務で、私が育休中。でも「復帰後は稼ぎ方・育て方を夫婦で再設計する」っていう発想を持てたのは、この本のおかげです。
📚 2冊目:『なぜ共働きも専業もしんどいのか』中野円佳
で、次に必要なのが「そもそもなんでこんなに大変なのか」を構造的に理解する本。『なぜ共働きも専業もしんどいのか』は、まさにそれを言語化してくれました。
著者の中野円佳さんは元日経新聞記者で、『「育休世代」のジレンマ』の著者でもあります。この本の主張はシンプルで、「日本社会は“主婦がいないと回らない構造”のまま、共働きを進めている」ってこと。だから共働きはキツいし、でも専業もキツい、というダブルバインド状態になっている。
これ、採用担当としても身に染みる話なんですよ。面接で会うワーママの多くが「夫は育児に協力してくれる」って言うんですけど、実態を聞いていくと「最終責任はママが持っている」パターンが圧倒的に多い。社会全体が「最終責任はママ」という前提で設計されているから、いくら個人が頑張っても構造の壁にぶつかる。
この本を読むと「自分の能力不足じゃなくて、構造の問題なんだ」って思えるので、罪悪感が減ります。その上で「じゃあ自分はどう立ち回るか」を考えられるようになる。迷子日記の本命の一冊です。
📚 3冊目:『ワーママはるのライフシフト習慣術』尾石晴
構造の話の次は、実践の話。尾石晴さん(ワーママはる)は、外資系メーカーで16年働きながら双子ではないけれど子育てをしてきた方で、Voicyのトップパーソナリティでもあります。同じく尾石さんの『やめる時間術』もすごく良いんですけど、こちらは「ライフシフト」にフォーカスした一冊。
本のポイントは、「キャリアを一直線に考えるのをやめて、複線で設計する」。会社員一本でいくんじゃなくて、副業とか、学び直しとか、家庭内の役割とか、複数のポートフォリオで人生を組む。ワーママは時間が限られてるからこそ、逆に「選択と集中」が鍛えられるっていう発想の転換が気持ちいいんです。
育休中に、「復職するか転職するか」で迷ってる自分に、この本は「どっちかを選ぶんじゃなくて、どっちも仮設で走らせて、現実に合わせて調整すればいい」って教えてくれました。採用担当として面接で見てるワーママたちも、正解は一つじゃなくて、人生のフェーズで最適解が変わる。それを受け入れられるようになる本です。
📚 4冊目:『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン
長期視点を与えてくれるのが、リンダ・グラットンの『LIFE SHIFT』。これは育休中に限らず、キャリアに迷う全ての人に読んでほしい定番本です。
ポイントは、「人生100年時代は、教育→仕事→引退の3ステージモデルが崩れる」ということ。私たちはこれから、70代、80代まで働くかもしれない。そうなると、育休の2〜3年なんて、キャリア全体の数%に過ぎないんですよね。この視点を持つと、「今この瞬間の焦り」から少し解放される。
採用担当としても、30代で転職する人を見ていると、その後40代・50代で再度大きくキャリアチェンジする人が増えてるのを感じます。一本道じゃなくて、探索と変身を繰り返すのがこれからの働き方。育休中の迷いは、その「探索」の貴重なタイミングだと捉えると、前向きになれます。
双子を抱きながら、「今の2年を焦って急ぐ必要はない」って何度も思い直せたのは、この本のおかげです。
📚 5冊目:『LEAN IN』シェリル・サンドバーグ
最後は、働く女性のためのバイブル的な一冊。Meta(旧Facebook)のCOOだったシェリル・サンドバーグが、「女性がキャリアで一歩踏み込むこと」の大切さを書いた本です。
中で印象的だったのが「テーブルに座り続けろ」というメッセージ。女性は、昇進の機会があっても「育児と両立できるだろうか」って一歩引いてしまいがち。でも、チャンスに手を挙げないと、本当に機会は回ってこない。引くなら、引く直前まで参加していろ、という話なんですよ。
これ、採用担当として面接に関わってても強く感じます。同じくらいの実力の男女がいたとき、男性は「やれます」って手を挙げ、女性は「できるかどうか…」って躊躇しがち。その差が、昇進・給与に積み重なっていく。育休中こそ、この本を読んで「戻ったら、テーブルに座り続ける」って決めておくのは、未来の自分への投資です。
ただし、この本は「女性が頑張れ」系のメッセージなので、疲れてる時に読むと重く感じるかも。1〜4冊目で構造への理解と自己受容を済ませたあとに読むと、一番効きます。
📖 5冊の読む順番マップ
実は、これら5冊の本に最適な読む順番があるんです。私自身が迷った経験から、おすすめの読む流れをお伝えします。
ステップ1:『なぜ共働きも専業もしんどいのか』(中野円佳) — 育休中の疲れや迷いが「あなたの努力不足」ではなく、「社会構造の問題」だと理解する。この段階で罪悪感を手放すことが、その後のステップに進むための土台になります。
ステップ2:『稼ぐ妻・育てる夫』(治部れんげ) — 構造を理解した次は「うちの家庭ではどう選択するか」を夫婦で考える。アメリカの事例から「役割分担は性別で固定しなくていい」という思考の枠を広げます。
ステップ3:『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン) — 「今この瞬間の焦り」を長期視点で相対化します。100年時代のキャリアイメージを持つことで、育休の2~3年が人生全体の中でどの位置にあるのかが見えてきます。
ステップ4:『ワーママはるのライフシフト習慣術』(尾石晴) — 心に余裕が出てきたら、実践的な「複線型キャリア」の設計法を学びます。会社員+副業+家庭の3本柱で、時間制約の中での優先順位が整理できます。
ステップ5:『LEAN IN』(シェリル・サンドバーグ) — 最後は「自分のキャリアに主体的に手を挙げる勇気」です。疲れている時に読むと重く感じるので、前の4冊で自己受容と構造理解を済ませてから読むことをおすすめします。
このステップを踏むことで、「育休から復帰するとき、自分は何を選択するのか」が、納得感を持って決められます。
💼 ワーママ目線での活用法
採用担当として育休ママと面接していると「どの本を読んだか」よりも「その本から何を得て、人生にどう活かしたか」が、その人のキャリア意識の強さを映していることに気づきます。
復職を決める時の判断材料として — これら5冊を読むプロセスは、「私は仕事を続けたいのか、それとも育児にシフトしたいのか」を言語化する助けになります。採用側から見ると、そういう「自分の意思を言葉にできる候補者」は、復職後も主体的に働くケースが多いんです。面接で「どんな働き方をしたいですか」と聞かれたとき、具体的に答えられるママは強いです。
同じ立場のママ友とのおしゃべりの時間に — 「育休中、何かやってる?」って聞かれたとき、「こんな本読んでてね」って話題になります。その中で「あ、私だけこんなに迷ってるわけじゃないんだ」という共感が生まれることが多い。特に『なぜ共働きも専業もしんどいのか』は、「あるある!」のオンパレードです。
転職活動の自己分析として — 転職理由を作る時、これら5冊から得た「キャリアへの向き合い方」が土台になります。「前の会社では~だから、次は~な環境を選びました」という説得力のある言語化ができます。採用側も、そういう候補者の言葉には耳を傾けます。
育休は、一見「仕事から遠ざかる期間」に見えますが、実は「自分のキャリア観を作り直す最高のチャンス」です。これら5冊は、その再構築を支えてくれる相棒です。
最後に
育休中に感じる迷いって、本当に深くて、複雑で、簡単には解決しないんです。でも、その迷いの中で「自分は何を大事にしたいのか」を改めて問い直すことができるんですよ。
これら5冊は、その問い直しを支えてくれました。「夫婦で役割を再設計する」「社会構造を理解する」「複線でキャリアを設計する」「100年時代の長期視点を持つ」「チャンスに手を挙げ続ける」という5つの視点を、それぞれの本が与えてくれます。
双子育児と転職活動を同時にしてた時期は本当に大変でしたが、その中で「自分は何がしたいのか」が、今までにないくらいクリアになりました。それって、これらの本があったからだと思う。子育てとキャリアの両立に迷ってるワーママたちに、本当に読んでほしい5冊です。
▶ 稼ぐ妻・育てる夫(治部れんげ):夫婦の役割分担を「戦略的に」再設計するための本。
▶ なぜ共働きも専業もしんどいのか(中野円佳):日本の「主婦前提」構造を可視化する本。
▶ ワーママはるのライフシフト習慣術(尾石晴):複線型キャリアの実践法が学べます。
▶ LIFE SHIFT(リンダ・グラットン):100年時代のキャリア設計の決定版。
▶ LEAN IN(シェリル・サンドバーグ):働く女性が一歩踏み込む勇気をくれる本。