昨日、長男が寝る前に「お母さん、いつも一緒にいようね」と言った。

その一言で、心が折れた。

「双子だから、いろいろ大変なんだよ」と説明したって、5ヶ月の赤ちゃんには何も理解できない。ただ「お母さんと一緒にいたい」という、最もシンプルで、最も正当な要求を、親としての自分が満たしてあげられない。

その瞬間に湧き上がる「申し訳ない」という感情。それは、採用側として何百人のワーママの転職理由を聞いてきた時には理解できなかった、深い、本当に深い罪悪感だ。

ワーママの罪悪感の種類

採用面接の中で、ワーママたちの転職理由を聞いていると、その罪悪感は、実は「複数の種類」に分けられることに気づく。

種類1:「仕事に時間を取られて、子供と過ごす時間が少ないことへの申し訳なさ」
「朝7:00に家を出て、帰宅は19:30。子供たちと過ごす時間は、実質1時間未満。その中で『最善の親』であることは、物理的に不可能。その状況で育児をしていることへの申し訳なさ」
種類2:「お迎えが遅いことへの申し訳なさ」
「保育園の迎え時間が遅くなると『最後に迎えに来られた子供』という立場になってしまう。その子供の表情を見ると『申し訳ない』という気持ちが湧き上がる」
種類3:「子供の体調不良で、仕事を休むことへの申し訳なさ」
「子供が熱を出した時『今日は重要な会議があるのに、どうしよう』という気持ちが、子供の心配より先に出てくること。その自分に対する申し訳なさ」
種類4:「保育園に預けることへの申し訳なさ」
「本来、親がするべき育児を『保育園の先生に任せてしまう』ことへの心理的な後ろめたさ。特に『今、親の私が側にいたら、子供はどれだけ幸せか』という想像」
種類5:「子供の発育が心配なことへの申し訳なさ」
「仕事で疲弊していると『子供と関わる時間が少なくなり、子供の発育に何か支障が出ているのではないか』という不安。その不安を『自分の仕事のせい』と感じる申し訳なさ」

これらの罪悪感は、単なる「心の問題」ではなく「ワーママの人生構造的に発生する、必然的な葛藤」だ。

この罪悪感は日本のワーママに特有に強い理由(社会的背景)

興味深いことに「ワーママの罪悪感」は、国によって大きく異なる。

📌 国際労働機関(ILO)『働く親の心理調査』(2023年度)
仕事で子供と過ごす時間が少ないことに「強い罪悪感を感じる」と回答した母親の割合:
日本:約72%
ドイツ:約34%
スウェーデン:約18%
アメリカ:約48%

日本のワーママの罪悪感は、先進国の中で「最も高い」。

なぜ、日本のワーママの罪悪感が、これほど強いのか。採用側としても考えてきた理由:

理由1:「専業主婦」が「正しい母親像」として定着している社会観

日本では、まだ「子供がいるなら、親(特に母親)が側にいるべき」という価値観が、社会的に根強い。その価値観の影響を受けて、働く母親は「本来あるべき母親像」から外れているという罪悪感を、内在化させてしまう。

理由2:「育児は母親の責任」という文化

日本では「育児は、主に母親の仕事」という認識が強く、父親の育児参加が「当たり前」になっていない。その結果「働く=育児放棄」という、一義的な結びつきが生まれやすい。

理由3:「子供の側にいることが、最善」という単線的な思考

日本の教育・メディアでは「親が側にいることが、子供にとって最善」という、ある種の「宗教的」ともいえる確信が、繰り返し強調される。その影響で、ワーママは「親が側にいないことは、必ず子供に悪影響を与える」という不安を持つようになる。

理由4:「育児と仕事の両立支援」が、制度的ではなく「個人の努力」に依存している

日本の職場では「育児と仕事の両立」が「制度的な当然」ではなく「その人が頑張ってどうにかすべき課題」として扱われる傾向がある。その結果「仕事を続けること自体が『申し訳ないこと』」という罪悪感が生まれやすい。

採用担当として、これらの理由を理解するようになったのは、自分が母親になってからだ。もし、自分が父親だったら「仕事をしながら育児もする」ことに、これほどの罪悪感は感じなかっただろう。

採用担当として「申し訳ない気持ちから転職を決意した」候補者を多く見てきた経験

採用面接の中で、ワーママが転職理由として「申し訳ない気持ち」を挙げることは、実は稀だ。多くは「テレワークがしたい」「通勤時間を短くしたい」という、より「具体的」な理由を述べる。

でも、その「背景」には、常に「子供に申し訳ない」という感情があるのだ。

採用面接の最後に「転職後、どのような働き方をしたいですか」と聞くと、その答えから「申し訳ない気持ち」の深さが見える。

「子供が学校から帰ってきた時に『お母さん、おかえりなさい』と言ってくれる状態にしたい」
「子供の急な発熱に『会社に迷惑をかけるかもしれない』という心配なく対応したい」
「子供と一緒に『今日、何があった?』という会話ができる時間を作りたい」

これらの願いは「親として当たり前」のはずなのに「それができていない自分」に対する、深い申し訳なさから生まれている。

多くの場合「申し訳ないから転職したい」という直線的な道筋ではなく「申し訳ないという気持ちを緩和できる環境を求めて、結果的に転職を選択する」というプロセスなのだ。

罪悪感を感じながら働くことのデメリット(本人にも子供にも)

ここで、大事な認識を持つ必要がある。「罪悪感を感じながら働く」ことは、決して「いい親」の証ではなく「本当は悪い結果をもたらす可能性」があるということだ。

📌 京都大学の研究『親の心理的ストレスと子供の発達』(2024年度)
親が「申し訳ない気持ちを抱えながら育児をしている」場合、その罪悪感は、親自身の「メンタルヘルス」に悪影響を与えるだけでなく、子供の「親への信頼感」や「愛着形成」にも悪影響を与える可能性がある。子供は「親が何か不安そう」「何か後ろめたそう」という「雰囲気」を敏感に感じ取り、その結果「自分が悪いことをしているのかな」という不安を持つようになる。

つまり「罪悪感を感じながら頑張って育児をする」ことは「良い親」ではなく「悪循環を生む親」になってしまう可能性があるのだ。

本当に「子供のためになる親」とは:

  • 自分の人生に満足度を持っている親
  • 仕事と育児のバランスが取れた、心に余裕がある親
  • 「申し訳ない」という罪悪感を抱えていない、クリアな心を持つ親

つまり「子供のために仕事を諦める」のではなく「子供のために働き方を変える」ことが、実は「最善」なのだ。

「子供のために転職する」という選択肢をポジティブに捉える視点

採用側時代、転職面接で「子供のために転職したい」と答える候補者を見ると「いい理由だ」と思いながらも、どこか「キャリアを優先していない人」という評価をしていたのかもしれない。

でも、今、親の立場から考えると「子供のために転職する」ことは「キャリアを放棄する」ことではなく「キャリア戦略を人生戦略に組み込む」ことなのだ。

「子供のために転職する」ことのメリット:

1. 親自身のメンタルヘルスが改善:罪悪感が軽減され、心に余裕が生まれる

2. 子供との関係が良好になる:余裕を持った親と接する子供の心理状態は、安定する

3. キャリアが「人生の一部」に最適化される:仕事のペースが、人生全体のバランスに合わせて調整される

4. 人生満足度が上がる:親としても仕事人としても「満足度の高い状態」を実現できる

5. 子供にとっても「良いロールモデル」になる:親が「自分の人生について、主体的に判断し選択する」姿を見ることで、子供も「自分の人生を大切にする」ようになる

みぃ自身が双子に申し訳ないと感じていること、そして決意

ここまで、採用側としての「分析」を書いてきたが、実際のところ、私は今、毎日「申し訳ない」という気持ちと向き合っている。

双子の息子たちは、今5ヶ月。全く、何も理解できない。でも「いつもお母さんと一緒にいたい」という本能的な要求は、確実に存在している。

その要求を「仕事があるから」という理由で、保育園に預けて対応しない自分に「申し訳ない」と感じる。

でも同時に「今、育休中に、毎日子供たちと過ごしている自分」を見ると、復帰後「週5出社で、朝7:00に家を出る状態」に戻ることへの強い「違和感」も感じる。

その違和感と申し訳なさの両方が「転職を決意する」方向に、私を導いている。

採用担当として何百人のワーママを見てきた私が、今、確実に言えることは:

「申し訳ない気持ちから転職する」ことは、決して「キャリアの後退」ではなく「人生設計の最適化」である。

そして、その決意をした時「親としての『申し訳ない』という感情は、確実に軽減される」というわけだ。

最後に:子供に申し訳ない気持ちを持つワーママたちへ

その気持ちは「あなたが良い親だから」生まれている。

でも「その気持ちに支配されたまま働き続けること」は「子供のためにも、あなたのためにもならない」。

「申し訳ない気持ちを軽減できる働き方」を真摯に探し、必要なら「転職」という選択肢を取ることは「親としての責任」であり「子供への最善のプレゼント」なのだ。

私も、今、そのプロセスの中にいる。一人ではない。

採用担当として一言:「申し訳ない気持ちは『決断の勇気』に変える」

最後に一言。採用担当として何百人のワーママ面接を見てきた経験から言うと「申し訳ない気持ちから転職を決断できたワーママ」は、入社後も「責任感が強く、自分の人生と仕事のバランスを真摯に考える社員」になるんです。採用側としても「この人は本気で人生設計を考えている」という信頼を持つんですよ。罪悪感に支配されるままではなく、その感情をバネに「自分と家族にとって最善の選択」を主体的にする力は、仕事でも確実に活きてくるんです。

📌 転職を考え始めたら

リクルートエージェント:大手企業の「育児と両立可能な求人」を多く扱っています。採用側のネットワークがあるからこそ、実際に働きやすい企業を紹介してくれます。

doda:「ワーママの悩みに寄り添う」というスタンスが強く、転職後のサポートも手厚いです。子供の急な病気で休みやすい企業文化を見極めるコツも教えてくれます。